インデザインとIllustratorの概要と連携
1. ソフトウェアの現状と環境
現在の主流な使用環境
インデザインとIllustratorは、同じAdobe社製のソフトウェアであり、非常に親和性が高いのが特徴です。
以前は、レイアウトソフトといえばMacのOS9で動作するQuarkXPress 3.3が主流でしたが、現在ではMacのOSX上でインデザインCS2以降のバージョンを使用することが一般的です。また、Windows上でもインデザインCS2が広く利用されています。
DTPとWindows環境の優位性
DTPの現場や、クライアントからデータ原稿を受け取る場合、クライアントの多くはWindows環境であり、ワードやエクセルの形式で原稿を渡してくることが多いです。
そのため、Windowsで作業する方が互換性の面でも有利で、フォントさえ揃えればスムーズに進行できます。Illustrator、フォトショップ、インデザインはWindows環境でも遜色なく利用できますし、むしろ直接的に作業できる点で、Windows環境が将来的に主流になるかもしれません。
2. データ互換性と移行
QuarkXPressからインデザインへの移行
QuarkXPressからインデザインへのデータ移行についてですが、驚くべきことに、インデザインでQuarkのデータを直接開くことが可能です。
多少のズレが生じる場合もありますが、基本的にはそのまま開いて少し手を加えることでデータを移行することができます。フォントの置換や最適化を行うことで、クォークのデータをスムーズにインデザインに移行できます。
PDFやオフィスデータの配置
インデザインでは、PDFファイルを直接配置できる点が大きな特徴です。また、ワードやエクセルのデータも、そのままインデザインに読み込むことが可能で、クォークでのテキスト書き出しのような煩雑なプロセスを省略できます。
ページを一括で読み込み、画像やデータを保持したまま編集ができるので、非常に便利です。
Illustratorファイルの配置
Illustratorのai形式のファイルも、インデザインにそのまま配置することができます。ただし、実験したところ、eps形式でないとトンボのセンタリングが正しく行われない場合があったり、パターンがモアレを起こすなど、完璧には機能しない部分もあります。そのため、現状ではeps形式の方が無難と考えています。
※[2012年現在追記] Illustrator CS4以降ではai形式が標準となっており、CS3でも同様だった可能性があります。入稿形式については依頼する印刷所に確認すると安心です。ネットプリントサービス(インターネットで依頼できる印刷所)ではテンプレートにも「入稿形式についての解説」が記載されています。その指定にあわせて対応します。
3. 制作上の注意点と効率化
透明効果の注意点
Illustratorで透明効果を使用し、それをインデザインに配置する際には注意が必要です。透明部分が思わぬ形で他のオブジェクトに影響を与えたり、タイル状の影響が出ることがあります。
例えば、透明部分が四角形でタイル状に背面の画像に影響してしまうことがあります。このような場合、データをPhotoshopに書き出してラスター化し、eps形式で保存して配置するといった対策が必要になることがあります。
※ 2024/10/08追記:現在AdobeはEPS形式非推奨。Illustratorなら.ai。Photoshopなら.psdがInDesignへの配置フォーマットとして推奨されています。EPS形式の画像はバグって表示されたり印刷されることが実際にありましたので注意してください。
オブジェクトのコピーとリンク配置
インデザインは、Illustratorで作成したデータをそのままコピペして持ち込むことが可能です。ワンポイントのオブジェクトなど、簡単なものについては非常に便利です。
しかし、修正が必要になるデータについては、画像リンクとして配置した方がメンテナンス性が高くなります。そのため、基本的にはコピペではなく、リンクで管理することをお勧めします。
便利なツールの紹介
QuarkXPressには「貼り魔王」という画像の自動配置ソフトがありましたが、インデザインにも「PDF貼り魔王」という便利なソフトがあります。
これを使うことで、PDFを一括でセンタリングしながらページものを作成することが可能です。特にMacOSX用として提供されています。
Windows環境でも、画像を自動配置するスクリプトが存在し、こちらのサイトで配布されています。
これらのソフトやスクリプトを活用することで、作業効率が飛躍的に向上します。
4. まとめ
Illustratorとインデザインを組み合わせ、さらに便利なソフトやプラグインを使うことで、制作効率が大幅に向上します。
インデザイン単体でも多くの効率的な機能が標準で備わっていますが、これらのツールを組み合わせると、よりスムーズに制作が進められます。
OSに関してはもうWindows、Macどちらの環境でも同じように作業できます。普段行っている業務やクライアントと連携しやすい環境にあわせて選べば良いです。
インデザインとIllustratorの連携を最大限に活用し、効率的なDTPを目指しましょう。
コメント